2022年は、ホラー映画が多彩な表現で観客を魅了した一年でした。日本では心霊スポットや都市伝説をテーマにした作品、人気シリーズの続編などが注目を集め、海外ではホラーと他ジャンルを融合させた革新的な作品が話題になりました。劇場公開に加え、配信サービスの拡充によって、自宅でも高品質なホラー作品が楽しめる環境が整ったことも大きな特徴です。この記事では、2022年に公開されたホラー映画の中から、特に印象的だった作品をわかりやすくご紹介します。
日本ホラーの新境地と原点回帰
『牛首村』は、実在の心霊スポット「牛首トンネル」をモチーフにした作品です。主人公が村の伝承や家族に隠された過去を探る中で、恐怖が少しずつ深まっていく構成となっており、不穏な雰囲気と映像美が印象的です。主演のKōki,さんの存在感も光りました。
『真・事故物件 本当に怖い住民たち』は、事故物件をテーマにした人気シリーズの続編で、複数の短編エピソードがオムニバス形式で描かれています。日常に潜むリアルな恐怖が、観る人の想像力を刺激する内容です。
『“それ”がいる森』は、都市伝説のような存在が人々の日常に忍び寄る設定で、自然の中に漂う異様な空気が観客を緊張させます。静かな展開の中に不意に現れる恐怖が魅力です。
そのほか、SNSや都市伝説、科学検証をテーマにした現代的なホラーも多く、日本のホラー映画は伝統と革新のバランスを取りながら進化を続けています。
海外ホラーの豊かなバリエーション
『NOPE/ノープ』は、ジョーダン・ピール監督によるSF×ホラーの新感覚作品です。空に現れる謎の存在を巡って展開する物語は、スリルと視覚演出に優れ、深いテーマ性も内包しています。エンタメ性とメッセージ性を両立した一作です。
『ブラックフォン』は、誘拐された少年が“黒い電話”を通じて過去の犠牲者とつながり、脱出を図るサスペンスホラー。抑制された演出がかえって強い緊張感を生み、観客の感情に訴えかけます。
『スマイル』は、笑顔という身近で安心感のある表情を恐怖の源に変えた作品です。日常に潜む異常を描き、観る者に静かな不安を与えるタイプのホラーとして注目されました。
さらに、『ザ・セントオブダークネス』や『ヘルバウンド』など、宗教的・哲学的テーマを扱った重厚な作品も多数登場し、海外ホラーの多様性が一層広がった年でもありました。
人気シリーズの再始動と完結
『スクリーム』シリーズの第5作目は、旧キャストと新キャストを融合させた構成で、“メタホラー”としての魅力を再確認させる作品となりました。ファンの期待に応えつつ、新たな世代にも届く作りが高く評価されました。
『ハロウィン THE END』では、ホラーの象徴とも言えるマイケル・マイヤーズとローリー・ストロードの長年の因縁が完結。シリーズ最終章として、感情的な要素も加わった濃密な内容になっています。
また、配信サービスで登場したリブート版『テキサス・チェーンソー』は、現代的なテーマや映像演出が取り入れられ、従来のファンと新たな層の両方を取り込むことに成功しました。
新感覚ホラーとテーマ性の深化
『メニュー』は、高級レストランを舞台に、料理と狂気が交錯する異色のサスペンスホラーです。美しい映像の中で繰り広げられる異常な展開が、観る者をじわじわと追い詰めます。
『フレッシュ』は、恋愛アプリで出会った相手が想像を超える秘密を持っていたという設定のサイコホラーです。人間関係の怖さや現代の恋愛観に切り込んだリアルな心理描写が高く評価されました。
そのほか、SNS社会を舞台にした『ザ・フィード』や、AIをテーマにした『M3GAN』の前日譚的な作品など、現代テクノロジーと人間の関係性に焦点を当てた作品も増えており、恐怖の題材はますます広がりを見せています。
おわりに:2022年はホラーの進化を実感する年に
2022年に公開されたホラー映画は、従来の恐怖表現だけにとどまらず、多彩なテーマやジャンルの融合によって、新たな可能性を切り開いた一年でした。ジャンプスケア、サイコホラー、哲学的アプローチ、社会派ホラーなど、あらゆる角度から“恐怖”を描いた作品が揃い、観る人の価値観を揺さぶる内容が多く生まれました。
映画館での臨場感ある体験も、自宅での配信視聴も、どちらも魅力的な選択肢として楽しめる今、自分のペースでじっくりとホラーの世界に浸ることができます。
まだ観ていない作品があれば、ぜひこの機会にチェックしてみてください。2022年のホラー映画の豊かさと奥深さに、きっと驚かされるはずです。
コメント